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【トーナリティー】
大局観。
とても勘違いしやすいが「太極拳」とは異なる。
自分の将来「こうなりてぃー」とも違うということを、予めお断りしておく。
音楽を演奏するにあたり、曲の持つリズム感、躍動感、圧迫感、明るさ、暗さ、どっこいさ、諸々の全体像、これが「トーナリティー」であるが、演奏に限らず、何に於いてもこれをつかむのが早い人ほど、良い仕事をするようである。
今やることに汲々とし、次にやらなければならない第2、第3を考える余裕なしに、後からやってきた第2、第3がとてもやりづらく倍の時間がかかる。倍ならまだしも、やっと終わらせた第1も、最初からやり直さなければならないということまであり得る。
先を読みながら今の仕事をする人は、結果、時間もかからず、手間もかからず、バランスもよく、良い仕事が速く、綺麗に、場合によっては安上がりにできる。前者より、後者の方が、需要が増えるのは至極当然である。
が、得てして後者に根性悪が多く、前者に善人が多いこともままならない。
「あの愚図がトロトロ仕事しやがって終わりゃーしねーよ」「要領わりぃんだよな」「あいつと一緒だと流れが止まってしょうがねぇよ」と後者が陰口。
「お茶を入れておきましたので、どうぞ」と前者。「あっ、どうもすみません」と、何故か顔を上気させて、背中に薄く汗をかき、体裁だけのお礼を言う後者。
こういう光景を時々見かける。
しかし、前者が後者に迷惑をかけているのも事実、これは否めない。自分が他人に迷惑をかけているなど到底思いもかけない、超自然児の前者。
理想的には、聖人のような後者が余裕のある分前者を第4の仕事と補いつつ全体が一つであると考え、こなしていけるのが「一流」と言われる人種で、実際ミュージシャンの評価はその辺りにあり、ミュージシャンに聖人などいる訳はないが「結果として他人を補い、或いはその人と一緒に演奏すると自分の能力を超えたことが出来てしまう」こういう人が案外多くいる。
自分のプレイに徹し素晴らしい演奏をする、この域が「一流」。良い曲に仕上がっているか全体を気にかけ、一緒に演奏する者まで良い演奏をさせてしまう、これを私は『超一流』と呼んでいる。
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