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【かぶせ】
CD、映画、CM、TV番組、etc。
レコーディングは、演奏者全員が揃って演奏したものを録音するのが本来だが、ミュージシャンのスケジュール、スタジオの問題、アレンジの変更、等々幾つかの理由により、揃って出来ないことがある。その時には仕方なく、録音できていない穴の部分を、後から一人で、或いは数人で録音する。これを業界で「あとから、かぶせる」というが、これには便利な反面、幾つかの問題を残す。
現代の録音技術からすると、殆ど分からなくできるが、いわゆる「臨場感」というものがでてこない欠点がある。それでも敢えて、それをしなければならない前記のような理由があり、一枚のCDになったり、映画になったり、出来上がっているにも関わらず、ミュージシャン同士顔も合わせていないというおかしな音楽ができあがる。特に筆者などのパーカッションという分野は、取り分け「かぶせ」が多く「ラ・クラベ カサ・デ・マロン」の営業が終わってからスタジオ入り、という時間帯にして貰ったときなど、深夜2時過ぎに、既に録音を済ませてある数十人の演奏をヘッドフォンという、これまた「かぶせもの」を通して聞こえてくる音楽に合わせ、演奏をする訳である。
小生、音楽専業時には考えることすらなかった莫大な「経費」の内訳を、「ラ・クラベ カサ・デ・マロン」の経営で学び、近頃は制作者側への気遣い(?)から、出来る限り一発OKで済ますが、昔の小生や経費を考えないミュージシャン、夜中で時間もあることから、一度録音したものを「今の聴かせて」と、気に入らなければ5回も6回も録り直す。
ディレクターはだんだん良い演奏になっていくのを喜ぶ反面時間が掛かってスタジオ代がかさむのと、自分が気に入らないだけなのにミュージシャン本人の時給もかさむ。「参っちゃったなあ会社からは経費掛けすぎと怒られるし」等と心配しながら、早く終わらせようと「今の最高ですよ」と、引きつった笑い顔で「最高、最高」を連発する「かぶせ」の明け方スタジオ風景。
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