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【ミュージシャンの必修科目 其の拾六】
18.【棒振り】(指揮者)
・クラシックのオーケストラなどは、なんといっても指揮者がソリストにもまさる花形である。ジャズ・ポップスの世界はいちがいにそうでもないのだが、演奏者の感情的にはその風潮は多々ある。
・クラシック音楽は作曲者が欠いたメロディーを100年たった後もそのまま演奏することが多いのに比べ、(勿論ソリストが変わればそれぞれの感性が違う分、表現そのものも当然その都度違ってくる)ジャズやポップスでのソロは『アドリブ』が多いので、聴衆もその場の気分・雰囲気で出来上がるメロディー・リズムを楽しみにライブコンサートに出かけてくる人が多い。
・したがって「アドリブプレーヤー」がこの世界の花形になる。
・が、そのソリストでさえ、例えば自分がリーダーのライブコンサートで、曲のテンポのカウントを出したり、エンディングのリット(徐々にテンポを遅くする)やコードなどを指揮すると、結構その気持ちよさが忘れられなくなる。結果、演奏する時間より指揮する時間が少しずつ多くなる。
・そうなるともう坂道に水を撒いて凍らせ、それをアイロンでしわを伸ばし、更に水を撒いて凍らせ、ワックスで磨き上げた上をガラスの靴で歩くが如く止まらない「この曲は〜〜にソロをとらせて、この曲はXXにやらせよう」と、だんだん演奏部分より指揮する(いわゆる棒を振る)部分が増え、気がつくといつのまにか楽器はなくなり『タクト』(指揮をするときに使う棒)だけ持って会場に現れるようになっている。
・このあたりで「あの人は自分でたいこ(ドラム)やったほうがいいのに」とか「あの人のパツラ(トランペット)がなきゃあのバンドの意味がねえじゃん」とかの陰口が出始める。
・それも10年もたつ頃には「あの人は一番いい時にやめたよな」にかわってくる。しかしそれもこれも名バンドに成長した時に言えることであって、そうならなかった時には「あの人の音があって成り立っていたのに、自分で演奏してりゃーいいものをバカだよな」と陰口をたたかれ、音楽人生の一生を「棒に振る」事になったそーな。
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