【ミュージシャンの必修科目 其の九】

11.【メモる】

記憶する。只単にそれだけの意味であるが、人の顔を、車の番号を、スケジュールを、スタジオの場所を、自分の名前を、自分の歳を。そして主な使われ方として、曲の進行、アレンジ、自分の楽器の演奏箇所部分これを譜面なしで演奏する、そんな意味がメモるである。
これがまたミュージシャンにとっては大変な作業で、楽譜を読むことが得意な人、苦手な人、それぞれあるが、苦手な人は得意な人に比べるとメモるのが早いようだ。・・・・・・・・・・・・・・
プロである以上譜面の読めない人はいないが、読むことが得意な人は「譜面さえあればいついかなるときでも大丈夫」という安心感からメモる努力をしないということであろう。
アレンジの内容によってはさっと覚えられるものと、覚えにくいものとがあるが分野によってもかなり異なる。
総じてジャズの人達はメモるのが早くクラシックの人達はメモるのが苦手である。これには出身の違いも大きく作用しているが、クラシックの人達はほとんど音楽学校を卒業してプロになっているのに対して、ジャズの人達はいきなり付き人(ボーヤ)になるなどして実践場からはいる人が少なくない。
したがって演奏自体はとても素晴しいのに譜面が読めないという人がジャズミュージシャンのなかには時々見かける。・・・・・・
スタジオミュージシャンという職業は、スタジオに入って初めて譜面を渡され、その場でどんどん録音していくといういわば特殊技術の人種で、譜面を読むことが超達者でないとつとまらない。
しかしほとんどの場合が音楽という演奏を、人に(稀には犬や虫達に)聴いてもらうためには自分達独特の解釈をリハーサルという場で検討し発表する訳で、メモってしまう事があらゆる意味で効率がよいのは間違いない。

2004.11